地獄と極楽のお話しUPDATE. 2008.2.21
『ちりとてちん』
あいかわらず、私が唯一見ることのできるドラマ。
NHKの連ドラ。
先週は特にウルウルきました。
そして草若師匠が亡くなる前の地獄の落語ネタを見てた時に思い出したお話があります。
昨年H社長さんから頂いた1枚のコピー。
そこにはこんなお話が書いてありました。
『地獄と極楽のお話し』 多田喜明
「地獄っちゅうところ、見たことあるか。」
「いや、ない。」
「ホナ極楽っちゅうところはどないや。」
「さあ、知らんな。」
「・・・・・・」
「ホナ、見したるさかいに、ついといで・・・・」
「ここや・・・・」
「こら~、学校の廊下やないかいな。3年A組、いや違う。地獄と書いたぁるがな。」
「さあ、ここが地獄ちゅうとこや、よう見てみ。」
地獄の部屋をちょっと覗いてみました。
すると、食べ物がいっぱい、山と積まれたテーブルを囲んで、大人達が長ーいフォークを手にしながら、食べ物を口に入れようと必死です。
彼らの手足は椅子に縛られています。かろうじて、手首を動かせる程度です。
長ーいフォークを手に、食べ物を口に入れようとするものですから、食べ物を突き刺しては放り投げ、口で受けて食べようとします。なかなかうまくいきません。
床は落っこちた食べ物で汚れています。食べ物は腐って悪臭を放ち、食べられない彼らは痩せこけて、目はギョロギョロとして飢えと乾きに苦しむ亡者です。餓鬼です。
次は極楽と書いてある部屋があります。ちょいと覗いてみました。
食べ物がいっぱいです。山と積まれたテーブルを囲んで、大勢の大人達が長ーいフォークを手にしながら、食べ物を口に入れているのです。
彼らも手足は椅子に縛られ、かろうじて手首を動かせる程度ですから、地獄の部屋の光景と少しも違うところがないのです。ただ、長ーいフォークを手にして、食べ物を自分の口に入れることなく、他人の口に入れようとしているのです。
すると、他人様は、フォークの先に突き刺した食べ物を、自分の口に入れてくれるのです。
極楽部屋の誰もが、円満な顔立ちでふくよかです。笑顔が絶えません。
我がわれがと他人を押し退けて口に入れようとする行為と、まず、他人様の口に入れようとする利他の行為との違いが、地獄と極楽の分かれ道なのです。
さて、これからは食べ物に限らず、愛情という名の食べ物、心が食べる食べ物をも他人の口に、そっと食べさせることができたら・・・・。
このお話ちょっと衝撃でした。
忘れることができません。
はたして、今私達大人達の世界は、次代の子ども達の目にどちらの世界が写っているんでしょうか?
眠り屋 店主